· 薬剤師たけすた · 健康 · 20 min read
腸内環境と肌荒れの関係|薬剤師が「腸から肌」を整理する
化粧品を変えても、同じ場所の肌荒れだけ戻ってくる。そんなとき、腸の側から見直せることがあります。断定はできませんが、報告は積み上がっています。

化粧水を変えた。皮膚科でもらった薬も塗った。そのときは落ち着くのに、しばらくすると同じ場所がまた荒れてくる。
塗るものはもう十分試している。それでも戻ってくる。この繰り返しが、いちばんつらいところだと思います。
サキさんスキンケアはずっと見直しているんです。でも、荒れるときは何をしても荒れます。
薬剤師たけすた外から整えることは大事ですし、皮膚科で出された薬も自己判断でやめないでください。そのうえで、体の内側から皮膚に届いているものもあります。腸の側を見ておくと、手数がひとつ増えます。
この記事では「腸を整えれば肌荒れがなくなる」という話はしません。そこまで言い切れる段階ではないからです。今わかっている範囲の報告と、腸の側でできることの順番だけを整理します。
「腸から肌」という考え方があります
腸と皮膚のつながりは、研究の世界では 皮膚腸相関(skin-gut axis。海外の論文では gut-skin axis とも書かれます) と呼ばれています。腸の中の菌のバランス(腸内フローラ)が乱れた状態と、いくつかの皮膚の状態とが同時に見られる、という報告が積み重なってきた分野です。
出典:腸内細菌学会 用語集「皮膚腸相関(skin-gut axis)」, 2026年9月確認
海外のレビュー論文でも、いくつかの皮膚の状態について、皮膚だけでなく腸内細菌の構成にも違いがみられると整理されています。
出典:Microorganisms 誌「Gut–Skin Axis: Current Knowledge of the Interrelationship between Microbial Dysbiosis and Skin Conditions」2021年
ただし、ここは正直に書きます。これらは「関連が見られる」という報告であって、「腸を整えれば肌の状態が良くなる」と証明されたわけではありません。順番がどちらなのか(腸が先か、皮膚の側が先か)も、はっきりしていない部分が残っています。
ケンジさん結局、腸活しても肌には関係ないってことですか?
薬剤師たけすたそう受け取られるのも無理はないと思います。今は「言い切れる段階ではない」というだけで、関係がないと分かったわけではありません。期待しすぎずに足す、という距離感がちょうどいいと思っています。
何が腸から肌まで届いているのか
「腸と肌がつながっている」と言われても、経路が見えないと納得しにくいと思います。ここは一段だけ具体的に書きます。
腸内の菌は、食べたものを分解する過程でさまざまな物質を作ります。そのうち、菌がたんぱく質を分解するときにできる一群(フェノール類)は、血液に入って全身をめぐります。動物の実験では、このフェノール類が血流に乗って皮膚にたまり、皮膚の乾燥と関わることも報告されています。
出典:Frontiers in Microbiology 誌「The Gut Microbiome as a Major Regulator of the Gut-Skin Axis」2018年(動物での報告を引用した総説), 2026年9月確認

ヤクルトの研究グループは、健康な成人女性40人を2つの群に分けて比べています。片方には4週間、ビフィズス菌と腸内の菌のエサになる糖(ガラクトオリゴ糖)を含む発酵乳を続けて飲んでもらいました。どちらを飲んでいるかを本人にも調べる側にも分からないようにして比べる方法(二重盲検・プラセボ対照試験)です。
その群では、血液中のフェノール類の値が下がったと報告されています。
出典:Bioscience of Microbiota, Food and Health 誌「Consecutive Intake of Fermented Milk Containing Bifidobacterium breve Strain Yakult and Galacto-oligosaccharides Benefits Skin Condition in Healthy Adult Women」2013年(二重盲検・プラセボ対照試験), 2026年9月確認
この試験では、発酵乳を続けた群で、皮膚のいちばん外側(角層)の水分量の低下がみられなかったことも報告されています。ただし1つの試験の結果で、誰にでも同じことが起きるわけではありません。
出典:同上(Bioscience of Microbiota, Food and Health 誌, 2013年)
つまり「腸内で作られた物質が、血流に乗って皮膚まで届く」という道筋自体は、報告のある話です。ここが、腸と肌を結びつけて考える根拠になっています。
サキさんじゃあ、ヨーグルトを食べれば肌が変わるんですか?
薬剤師たけすた1つの試験の結果を、すべての人にそのまま当てはめることはできません。菌の種類も量も違いますし、個人差も大きい分野です。「そういう道筋がある」くらいで受け取ってください。
お通じと肌の関係は、どこまで言えるか
「便秘が続くと肌が荒れる」は昔からよく言われますし、実際にそう感じている方も多いようです。
ただ、「便秘だから肌が荒れる」という因果関係を人で直接示した研究は、まだ多くありません。感覚として広く共有されているわりに、証拠の側が追いついていない、というのが現状です。
薬剤師たけすた私は自分の腸の調子を、便の色と浮くかどうかで見ています。黄色がかっていて水面に浮く日は、だいたい体の調子もいいです。肌だけを見るより、こういう分かりやすい目印を1つ決めておくほうが続きます。
腸の側とスキンケアの側、役割が違います
どちらか一方を選ぶ話ではありません。守備範囲が違うので、両方あったほうが手数が増えます。
| スキンケアの側 | 腸の側 | |
|---|---|---|
| 見ているところ | 皮膚のいちばん外側(角層) | 体の内側(血流を通じた経路が報告されている) |
| 取り組む時間の単位 | 比較的すぐ(毎日その場で) | 数週間〜数ヶ月 |
| やること | 今ある乾燥や刺激をやわらげる | 毎日の食事の内容を長い目で見直す |
| 優先順位 | ◎ まず続ける | ◯ そのうえで足す |

順番としては、スキンケアが先です。今つらい乾燥や刺激に対応できるのは外側だからです。腸の側は、そのうえで毎日の食事を長い目で見直す取り組みだと考えてください。
腸の側で足すなら、この順番
化粧品を買い替えるかどうかとは別に、腸の側でできることもあります。足す順番を決めておくと、無理なく続けられます。

① 水分を先に整える
食物繊維を増やす前に水です。水分が足りないままかさだけ増えると、お腹が張りやすくなります。
薬剤師たけすた私は朝いちばんに白湯を1杯飲むところから始めています。習慣の置き場所を決めておくと、忘れずに続けられます。
② 食物繊維を足す
腸内の菌のエサになるのは主に食物繊維です。まず土台がここにあります。
日本人の食物繊維の摂取量は、令和6年の調査で1歳以上の平均が1日17.7gでした。目標量は、男性が18〜29歳で1日20g以上・30〜64歳で22g以上・65〜74歳で21g以上・75歳以上で20g以上です。女性は18〜74歳で18g以上・75歳以上で17g以上です。
出典:令和6年 国民健康・栄養調査(1歳以上の平均値)/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」, 2026年9月確認
※調査値と目標量は食品成分表の版が異なるため、差は目安です
この17.7gは年齢も男女も分けていない全体の平均なので、ここから自分の不足量を引き算することはできません。それでも、目標量と比べると平均は下にあります。
足し算より、置き換えのほうが続けやすいです。白米をもち麦に変えるだけなら、食べる量を増やさずに食物繊維を上乗せできます。
③ 発酵食品を重ねる
菌そのものを足す側です。ヨーグルト・納豆・味噌・ぬか漬け・キムチ。毎日全部そろえる必要はなく、続くものを1〜2種類で構いません。
足す間隔は2週間ごとに一段が目安です。一度に増やすとお腹が張りやすくなります。
ケンジさんこの3つ、どれか1つだけやるなら何ですか?
薬剤師たけすた食物繊維です。菌を足しても、エサがなければ増えにくいからです。ただ、水分が足りていない状態で繊維だけ増やすとお腹が張るので、水を先に整えてください。
食事で足りないときの選択肢
食事で足りない分を補う方法もあります。あくまで土台は食事で、サプリはその上に置くものだと考えてください。以下はAmazon・楽天で買えるものです。

サンファイバー
味がほとんど変わらず、飲み物に混ぜて続けやすい
グアー豆由来の水溶性食物繊維(PHGG)。溶けやすく粘りが出にくいため、味噌汁やコーヒーに混ぜても味が変わりにくい設計です。少量から量を調整しやすいタイプです。水溶性食物繊維を足したいとき、私が使っているのはこれです。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

イヌリン(食物繊維サプリ)
白湯やコーヒーに溶かすだけで使える粉末タイプ
菊芋やチコリ根に含まれる水溶性食物繊維。粉末なので、量を少しずつ調整できます。お腹が張りやすい方は少ない量から始めてください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
薬剤師たけすた私自身は朝、白湯にイヌリンを溶かして飲んでいます。8年以上続けていますが、肌のために始めたわけではありません。食事で足りない分を補う位置づけです。
どのくらいで様子を見るか
ここでつまずきやすいのが、期間の見積もりです。
| 期間 | 見ておくところ |
|---|---|
| 〜1週間 | 変化を探さない。お腹の張りが強くないかだけ確認 |
| 2〜4週間 | 量が自分に合っているか。合わなければ一段戻す |
| 1〜3ヶ月 | 水分・食物繊維・発酵食品の3つが、習慣として続いているか |
腸内の菌のバランスは、数日で入れ替わるものではありません。短い期間で良し悪しを決めず、まずは続けられる形になっているかだけを見てください。
肌の変化がいつ出るのか、そもそも出るのかは、今の報告では言えません。だからこの表は、お腹の張りと量、そして習慣が続いているかを見る形にしています。
そして、荒れ方が急に強くなった・広がった・痛みや熱を伴う場合は、腸の話より先に皮膚科です。腸活は、受診の代わりにはなりません。
よくある質問
サキさん腸を整えたら、スキンケアは減らしてもいいですか?
薬剤師たけすた減らさないでください。守備範囲が別なので、置き換えるものではありません。外側は続けたまま、内側を足すという形にしてください。
ケンジさんヨーグルトを毎日食べていますが、お腹の調子が変わりません。
薬剤師たけすた菌だけを足していて、エサが足りていない可能性があります。食物繊維を一緒に摂ると、菌が働きやすい環境になると考えられています。もち麦や海藻を足してみてください(肌の変化を約束するものではありません)。
サキさん腸活を始めたら、逆にお腹が張るようになりました。
薬剤師たけすた増やす速度が速すぎたときによく起きます。量を一段階戻して、水分を先に整えてから、2週間おきに少しずつ足し直してください。それでも張りが続くなら一度中止して、医師にご相談ください。
ケンジさん子どもの肌荒れにも同じ考え方でいいですか?
薬剤師たけすた食事の内容を整える部分は同じですが、サプリを使う場合は必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。
まとめ
- 腸と皮膚のつながりは皮膚腸相関と呼ばれ、関連を示す報告が積み重なっている段階です
- 腸内で作られたフェノール類が血流に乗って皮膚に届く、という経路が報告されています
- 「腸を整えれば肌荒れがなくなる」と言い切れる段階ではありません
- スキンケアが先。腸の側はそのうえに重ねる、長い目で見た食習慣の見直しです
- 順番は、水分 → 食物繊維 → 発酵食品。一度に増やさない
- 2〜4週間で見るのはお腹の張りと量。習慣として続いているかは1〜3ヶ月。急な悪化は皮膚科へ
外から塗るものを一通り試したあと、まだ手が残っている——腸の側をお伝えするのは、そういう気持ちからです。過度な期待はしないでください。ただ、毎日の食事を見直すという形であれば、手をつけやすい場所ではあると思っています。お腹の張りが出たら量を一段戻してください。



