· 薬剤師たけすた · 健康 · 21 min read
ビタミンDの選び方|薬剤師が日照と食事と補助で考える順番
ビタミンDはサプリの前に、日光と食事で埋まる分がかなりあります。どこまで自力で足りて、どこからサプリなのか。単位(µgとIU)の読み方と上限量まで、薬剤師が見ている順番で整理します。

ドラッグストアのサプリ売り場でビタミンDを手に取ると、製品ごとに数字がバラバラです。「1000IU」「2000IU」、日本製ならマイクログラム表記——単位が違うので、多いのか少ないのかも分からない。
しかも「日本人はビタミンDが足りない」と言われる一方で、「摂りすぎは危ない」とも言われます。
サキさんビタミンDって結局、飲んだほうがいいんですか? 数字の見方も分からなくて選べません。
薬剤師たけすた飲む価値がある方は確かにいます。ただビタミンDは、サプリの前に日光と食事で埋まる分がかなり大きい栄養素なんです。まず順番から整理させてください。
ビタミンDは「日照 → 食事 → 補助」の順に埋めていき、残った分だけサプリで足す——これが結論です。
この記事では、その順番と、製品を選ぶときに必ず見る単位(µgとIU)の読み方をまとめます。
なぜ順番から考えるのか
ビタミンDが他のビタミンと違うのは、体の中で作れる点です。
皮膚に紫外線(UVB)が当たると、そこでビタミンDが作られます。食べ物からしか入らないビタミンCや鉄とは、そもそも前提が違います。
つまりビタミンDは、供給ルートが3本あります。

| 順番 | ルート | 特徴 |
|---|---|---|
| 1 | 日光(皮膚での産生) | 費用ゼロ。季節・地域・時間帯で量が大きく変わる |
| 2 | 食事(魚・きのこ・卵) | 魚を1切れ食べる日は、それだけで1日分に届く |
| 3 | サプリ(補助) | 1と2で足りない分を埋める役。単位の確認が必須 |
順番を飛ばしてサプリから入ると、「日光にも当たっている・魚も食べている・サプリも飲んでいる」という重ね方になります。ビタミンDは体に溜まるタイプ(脂溶性)なので、この重ね方が一番もったいない。
ケンジさん溜まるってことは、飲みすぎたら出ていかないんですか?
薬剤師たけすたそうです。水溶性のビタミンB・Cは余った分が尿に出ますが、脂溶性のA・D・E・Kは肝臓や脂肪に蓄えられます。だから上限量が決められています。
1本目:日光でどれくらい作れるのか
まず日照から。ここが季節と住んでいる地域で大きく動きます。
国立環境研究所は、顔と手の甲を出した状態で1日分に相当する量を作るのに必要な日照時間を、地域別・季節別に試算しています。
| 地域 | 7月・正午 | 12月・正午 |
|---|---|---|
| 那覇 | 数分 | 約8分 |
| つくば | 数分 | 約22分 |
| 札幌 | 数分 | 約76分 |
夏なら数分で足りるのに、冬の札幌では1時間以上。同じ「日光を浴びる」でも、中身がまったく違うことが数字で分かります。
さらに、日照ルートには効きにくくなる条件があります。
- 窓ガラス越しの日光:ビタミンD産生に必要なUVBは、一般的な窓ガラスでほとんど遮られます
- 日焼け止め:紫外線を防ぐ目的の製品なので、当然この産生も抑えられます
- 高齢:加齢とともに皮膚でビタミンDを作る力が下がるとされています
- 屋内中心の生活:日中ずっと室内なら、季節に関係なくこのルートは細くなります
薬剤師たけすた日焼け止めをやめてくださいという話ではありません。日焼け止めを使う方は、日照以外のルートで埋める前提で考えるほうが現実的です。
2本目:食事でどこまで届くのか
ビタミンDが多い食品は、実はかなり偏っています。魚ときのこ、それに卵です。

| 食品 | 100gあたり | 1食分の目安 |
|---|---|---|
| きくらげ (乾) | 85µg | 2gで約1.7µg |
| しらす干し (半乾燥品) | 61µg | 大さじ1・5gで約3µg |
| しろさけ (生) | 32µg | 1切れ80gで約26µg |
| 干ししいたけ (乾) | 17µg | 2枚6gで約1µg |
| さんま (皮つき・生) | 16µg | 1尾100gで約16µg |
| 鶏卵 (全卵・生) | 3.8µg | 1個50gで約1.9µg |
きくらげは100gあたりで見ると魚より多いのですが、乾物を一度に100gも食べません。実際に食べる量で計算すると、さけ1切れの約26µgが群を抜きます。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
100gあたりの数字と、実際に1食で食べる量の数字。この2つが逆転するところが、食品表の読みどころです。
ケンジさんじゃあ魚を食べた日は、サプリは要らないってことですか?
薬剤師たけすたさけやさんまを1切れ食べた日は、それだけで成人の目安量9.0µgを超えます。魚が週に何回あるかで、サプリの必要度は変わってきます。
魚を週に4〜5回食べていて、日中に外を歩く仕事なら、サプリの優先度はかなり下がります。逆に、魚が週1回以下で日中ずっと室内という方は、3本目のルートを検討する価値があります。
3本目:サプリを選ぶ前に、µgとIUを読めるようにする
ここが今回いちばん伝えたいところです。ビタミンDの製品は、日本製がµg(マイクログラム)、海外製がIU(国際単位)で書かれていることが多く、そのままでは比較できません。
換算はひとつ覚えるだけです。

| µg | IU | 位置づけ |
|---|---|---|
| 9.0µg | 360IU | 成人の1日の目安量 |
| 25µg | 1,000IU | サプリでよくある量 |
| 50µg | 2,000IU | 海外製に多い高用量 |
| 100µg | 4,000IU | 成人の耐容上限量(ここを超えない) |
覚えるのは「1マイクログラム=40IU」だけです。ここさえ押さえれば、2000IUと書かれた製品が成人の上限のどのあたりにいるかを、棚の前で判断できます。
年齢別の目安量と上限量
| 対象 | 目安量 | 耐容上限量 |
|---|---|---|
| 0〜11ヶ月 | 5.0µg(200IU) | 25µg(1,000IU) |
| 1〜17歳 | 年齢ごとに設定 (12歳以上は成人と同じ9.0µg) | 年齢ごとに設定 (成人より低い) |
| 18歳以上 | 9.0µg(360IU) | 100µg(4,000IU) |
| 妊婦・授乳婦 | 9.0µg(360IU) | 設定なし (服用は医師・薬剤師に相談) |
小児は年齢ごとに目安量も上限量も別に決められています。お子さんに使う場合は、必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。
⚠️ 上限を超えた状態が続くと、血液中のカルシウムが上がりすぎる状態(高カルシウム血症)や腎臓への負担が報告されています。マルチビタミンとビタミンD単品を併用している方は、合計量を確認してください。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
D2とD3、どちらを選ぶか
製品名に「D2」「D3」と書かれていることがあります。同じビタミンDですが、由来が違います。
| ビタミンD2 | ビタミンD3 | |
|---|---|---|
| 由来 | きのこなど植物性(エルゴカルシフェロール) | 魚・皮膚での産生(コレカルシフェロール) |
| 血中濃度の上がり方 | ◯ | ◎ |
| 市販サプリでの主流 | 少数 | 多数 |
血液中のビタミンDの状態(25(OH)D)を上げる力は、D2よりD3のほうが強いという報告があります。
出典:American Journal of Clinical Nutrition「Comparison of vitamin D2 and vitamin D3 supplementation」2012年のメタ解析
サプリを選ぶなら、原則はD3です。菜食を徹底している方だけ、植物性のD2という選択肢が残ります。
自分が足りているか知る方法
「足りているかどうか」は感覚では分かりません。血液検査で25(OH)D(25-ヒドロキシビタミンD)という値を測ると数字で出ます。
| 血中25(OH)D | 判定 |
|---|---|
| 30ng/mL以上 | 足りている |
| 20〜30ng/mL未満 | 不足 |
| 20ng/mL未満 | 欠乏 |
この検査は一般的な健康診断の項目には入っていないことが多く、医療機関で相談して受ける形になります。骨密度が気になる方や、骨の治療を受けている方は、主治医に聞いてみる価値があります。
薬剤師たけすた数字が分かっている方は、そこから逆算できます。分からない場合は、上限の半分あたりまでを目安に、少なめから始めるのが無難です。
補助として選ぶなら|iHerbで買えるD3単品
日照と食事で埋めきれない分を足す、という位置づけで選びます。以下は iHerb で購入できる商品リンクです。
Now Foods ビタミンD3 1000IU(180粒)
1粒1,000IU(25µg)|上限の4分の1で扱いやすい
ビタミンDだけを単品で補うタイプ。1粒1,000IU(25µg)で、成人の耐容上限量100µg(4,000IU)に対して4分の1の量です。日照と食事で足りない分を埋める目的なら扱いやすい設計。脂溶性なので食事と一緒に飲むのが基本です。マルチビタミンと併用する場合は、そちらに入っているビタミンDの量を足して確認してください。(iHerbリンク)
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
薬剤師たけすた海外サプリは1粒の量が多めです(この商品も目安量の約3倍)。ビタミンDはソフトカプセルなので半分に割るのは難しく、私は日光に当たれなかった日や魚を食べなかった日だけ飲んだり、1日おきにしたりして量を調整しています。
国内のドラッグストアで買いたい方は、ネイチャーメイドのビタミンDが手に入ります。製造元は米国Pharmavite、国内販売は大塚製薬で、第三者認証(USP Verified)を取得している製品が多いブランドです。
製品ごとに1粒あたりの量が違うので、パッケージのµgとIUの両方を必ず確認してください。
ビタミンDを含むマルチビタミンから入る選択肢もあります。そちらは マルチビタミンの選び方|薬剤師が成分表示で見ているポイント にまとめています。
飲み方と、薬を使っている方の注意点
ビタミンDは脂溶性なので、油を含む食事と一緒のほうが吸収されやすくなります。1日で最も量を食べる食事のあとに飲んだグループで、血中の25(OH)Dが平均して約50%高かったという報告があります。
出典:Journal of Bone and Mineral Research「Taking vitamin D with the largest meal improves absorption」2010年
薬剤師たけすた私は朝食を抜く16時間ファスティングを続けています。脂溶性のものは食事と合わせたいので、飲むなら昼か夜になります。
ここからは薬局で必ず確認している点です。
骨粗鬆症の治療で活性型ビタミンD製剤(アルファカルシドール・エルデカルシトールなど)を処方されている方は、市販のビタミンDサプリを自己判断で足さないでください。 血液中のカルシウムが上がりすぎる方向に働くため、必ず主治医か薬剤師に確認が必要です。
同じ理由で、以下に当てはまる方も相談してから決めてください。
- カルシウム製剤やサイアザイド系利尿薬を使っている方
- 腎臓の病気がある方、サルコイドーシスなどカルシウム代謝に関わる病気がある方
- ステロイド薬や抗てんかん薬を長期で使っている方(ビタミンDの代謝が変わることがあります)
- 妊娠中・授乳中の方
よくある質問
サキさん日焼けしたくないので日光は浴びたくありません。それでも大丈夫ですか?
薬剤師たけすた問題ありません。その場合は食事とサプリの2本で埋める設計にしてください。魚を週に何回食べているかを数えるところから始めると、必要な量が見えてきます。
ケンジさんマルチビタミンにもビタミンDが入っています。単品も足していいですか?
薬剤師たけすた足す前に合計量を計算してください。マルチに25µg、単品に50µgなら合計75µgで、上限100µgまで余裕は25µgしかありません。両方飲むなら、どちらかを少ない製品に替えるほうが安全です。
サキさん子どもにも飲ませたいのですが、大人用を半分にすれば大丈夫でしょうか?
薬剤師たけすた必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。小児は年齢ごとに上限量が別に決められているため、大人用を分けて使う判断は避けてください。
ケンジさん毎日飲み忘れます。まとめて週1回にしてもいいですか?
薬剤師たけすた脂溶性なので体に蓄えられ、数日単位のばらつきは吸収されます。ただし1回にまとめると上限を超えやすいので、飲み忘れた分を後日足すのはやめてください。
サキさん夏はサプリをやめて、冬だけ飲むという方法はどうですか?
薬剤師たけすた理にかなっています。日照時間の試算でも、夏と冬では必要な時間が10倍以上違います。夏は日光と食事、冬は補助を足すという切り替えは現実的な使い方です。
まとめ
- ビタミンDは体内で作れる数少ない栄養素。日照 → 食事 → サプリの順で埋める
- 冬の札幌では目安量を作るのに正午で約76分。夏との差が大きく、季節で戦略を変える
- さけ1切れ80gで約26µg。魚を食べた日は成人の目安量9.0µgを大きく超える
- 1µg=40IU。2000IUは50µgで、成人の上限100µg(4,000IU)の半分にあたる
- サプリはD3が原則。マルチビタミンと併用するなら合計量を必ず確認する
- 活性型ビタミンD製剤・カルシウム製剤を使っている方は、自己判断で足さず医師か薬剤師に確認する
ビタミンDは「足りない人が多い」と言われる一方で、上限がはっきり決められている栄養素です。だからこそ、いきなり製品を選ぶより、自分の生活で日照と食事がどこまで埋まっているかを先に見たほうが早い。
魚を週に何回食べているか。それを数えるだけで、必要な量はかなり絞り込めます。



